「ヴァレンチノ」2011年・宙組をDVDで観ました。※お名前の敬称は演出家・生徒問わず統一しています。
大空祐飛さんと野々すみ花さんのトップコンビのお二人が、大人っぽくて、でもどこか可愛らしい感じのする所もすごく好きだったのと、演出家の小池修一郎さんが1986年に演出家デビューされた作品の再演だったので、興味を引かれ、観てみました。(過去作品◇1986年雪組・杜けあき・美月亜優◇1992年雪組・杜けあき・紫とも)
1920年代に活躍した実在の映画スター、ルドルフ・ヴァレンチノ(ルディ)が主人公です。
話の内容の感想なんですが、私的にはイマイチピンと来なかったです。イタリア出身だからかもしれないんですが、とにかく"母"という言葉がよく出てきます。そのせいか、何だかルディがマザコンっぽく見えてしまって。
私は野々すみ花さんがとても好きだったので、もうお母さんのことはいいから、野々すみ花さん(ジューン)のことをもっとちゃんと見てあげて!って思いながら観てました。
しかも七海ひろきさん演じる美術監督のナターシャと結婚してしまうし。(七海ひろきさんは男役さんですが、この作品では女役をされていました)
でもこのナターシャという人、私は結構好きなんですよね。とにかく自分の信念があって強い人なので。七海さん演じるナターシャ、とても良かったです。
逆に私の好きな野々すみ花さんが演じるジューンはちょっと物足りなかったです。ジューンは脚本家なんですが、結婚して幸せな家庭を築くことが女の幸せ、みたいに考えてるような所があって。今とは時代も違うから仕方ないのかもしれないんですが…
話の内容としてはそんな感想を持ったのですが、大空祐飛さんの演じるルディは良かったです。ルディは子どもみたいに純粋な所のある人なのですが、大空さんが子どもみたいな笑顔を見せる瞬間は、母性本能をくすぐられる気がしました。大空さんは基本的には渋い男役さんなんですが、笑った時の笑顔がとてもかわいい人なんですよね。渋さと可愛さのギャップがとても良かったです。
印象的だった場面は、天羽珠紀さん演じるエジプト人の占い師、メロソープが出てくるところです。その場面だけ、雰囲気ががらっと変わっていて、ヴァレンチノ(ルディ)の今後の不吉な運命を暗示しているようで、心に残りました。
あと、小ネタとして面白かったところは、この頃の宝塚の舞台って、実際にパスタを食べたりしてるんですよね。今はもちろん(コロナ禍以前でも)そんなことはないので、ちょっとビックリしました。
この作品の難点を他に挙げるとしたら、とにかく舞台を見ている時の視覚が、暗い所です。宝塚の劇場ではなく小劇場公演なので、劇場の都合もあったり、また、お話も明るい話ではないので演出の面でもそういう作品なのかもしれないですが。でもやっぱり宝塚を観てるので、キラキラがないと、ちょっと寂しいです。
DVDの最後には大空さんのご挨拶も収録されてます。日本青年館公演が、東日本大震災による被災のため、中止となったことを言われています(その後、改めて半年後に日本青年館で上演されました)。
2011年のあの頃、私自身の記憶のことも思い出したりしました。