【宝塚】2012年・雪組「JIN-仁-/GOLD SPARK!」感想 総合的な満足度が高かった

総合的な満足度が高かった

「JIN-仁-」「GOLD SPARK!-この一瞬を永遠に-」2012年・雪組をDVDで観ました。

「JIN-仁-」について

原作の漫画は読んでないのですが、ドラマ版は何度も観るくらい好きでした。なので観る前には、この話をお芝居の1時間半という短い時間でどうやってまとめるんだろう?という期待と不安がありました。

でも観てみると、この物語の核心になるような部分を上手くミュージカルとしてまとめてあった気がしました。すごく盛り上がるとかではないですが、じんわりとした温かさが伝わってくる作品でした。(2013年に月組・龍真咲・愛希れいか 他でも再演されており、好評だったことが伺えます)

 

またこの作品は、トップスターの音月桂さんとトップ娘役さんの舞羽美海さんの退団公演でもありました。

音月桂さん演じる仁の台詞の中には、音月さん自身の宝塚の集大成と重なっていると思われる部分もあり、台詞の重みが画面越しにでも伝わってくるようでした。

それに寄り添う、舞羽さんの娘役さんとしての佇まいも健気で、トップコンビとしての一つの完成形が表現されていたと思いました。


なのですが…私がこの人が一番良かった、と思ったのは、愛加あゆさん演じる花魁の野風です。元々のお話の中でも、この野風という人は重要な人物として登場し、とても魅力的に描かれています。

愛加あゆさんの野風も、すごく良かったです。登場人物の中で一番好きかもしれないです。私は基本的には娘役さんが好きなんですが、どちらかというと男役さんを立てて寄り添って、というキャラクターよりも、自分で一人で立ってる感じの方が好きで。この野風という人も、自分の運命をちゃんと引き受けて、毅然と立っていて。愛加さんはお顔立ちもハッキリとした美人さんで、声もしっかりと出る方なので、花魁としての迫力が出ていました。話の要所要所でこの野風が出てくることで、ピリッと締まるようなスパイス的な存在だったと私は思いました。

愛加さんは舞羽さんの退団後、次期トップ娘役さんとして活躍されましたが、やっぱりというか、すごく華のある娘役さんだなと思いました。


「GOLD SPARK!-この一瞬を永遠に-」


私は基本的に宝塚のショーはそれぞれの生徒さんがキラキラと歌ったり踊ったりしてるのを見てるだけでいいので、割とどのショーも好きです。

でも、歌がお上手な生徒さんの場面はやっぱり、いいなーと聞き惚れてしまいます。

このショー、音月桂さん、未涼亜希さん、専科から出演の北翔海莉さん、皆さん歌がお上手なんですよね。

歌の上手さにも色々なタイプがあると思うんですが、上記の方はみなさん、癖がなくて、完璧で自然な歌声で、逆にサラッと聞いてしまいそうになる程です。


正直なところ、宝塚はどの人もみんな歌が上手い、みたいな作品ばかりではないです。(宝塚というのは、生徒さんの成長を見守る、みたいなのも醍醐味の一つだと思うのでそれはそれでいいのですが…)

でも、たまにこういう歌のお上手な方が揃われると、作品としての満足感がボーナスのような感じでついてくる気がして、有難いものになる気がします。

 

宝塚のお芝居とショー、二本立ての場合、ショーはいいけどお芝居はイマイチ、とか、お芝居はいいのにショーはイマイチ、とか、やっぱりそういう時もあるんですけど、

この「JIN-仁-」「GOLD SPARK!」については、バランスがかなり良く、誰が観ても割と満足度の高い作品になってるんじゃないかな、と思いました。