「風と共に去りぬ」を映像で見ての感想です。
◇「風と共に去りぬ」宝塚の過去の公演◇
1977年
(3/25〜5/10)宝塚大劇場
(7/2〜7/31)東京宝塚劇場
・星組 ◎凰蘭、他
(5/12〜6/28)宝塚大劇場
(8/3〜8/30)東京宝塚劇場
1978年
(1/1〜2/14)宝塚大劇場
(4/1〜4/30)東京宝塚劇場
・星組 ◎凰蘭、他
(1/11〜2/5)全国ツアー
(2/10〜2/20)中日劇場
(6/3〜6/22、10/9〜11/4)全国ツアー
(2/16〜3/22)宝塚大劇場
(4/30〜5/12)地方公演(福岡)
(7/1〜7/30)東京宝塚劇場
(3/23〜5/8)宝塚大劇場
(7/1〜7/29)東京宝塚劇場
(1/1〜2/16)宝塚大劇場
(4/3〜4/29)東京宝塚劇場
1994年
(1/1〜2/7)宝塚大劇場
(4/4〜4/27)東京宝塚劇場
(9/18〜10/10)全国ツアー
(5/13〜6/20)宝塚大劇場
(8/2〜8/29)東京宝塚劇場
(4/12〜5/6)全国ツアー
(5/30〜6/21)全国ツアー
2001年 星組 ◎稔幸、他
(6/9〜7/1)全国ツアー
(4/6〜4/29)日生劇場
(10/16〜11/7)全国ツアー
(9/27〜11/4)宝塚大劇場
(11/22〜12/23)東京宝塚劇場
2014年
(1/11〜1/27)梅田芸術劇場
・星組 ◎紅ゆずる、他
(11/14〜12/7)全国ツアー
(2/7〜3/2)中日劇場
これ、調べてみて思ったんですけど、凄いですね。上演回数もだし、同時期に同じ公演を別々の場所でやってたりしてて、衣装とかセットも2か所分ずつ用意してやってたんでしょうね…
初期の頃は大劇場公演として、別々の組が同じ演目を続けてやってたりするし。
当時は人気の演目だったのだろうから、何回見ても飽きなかったりしたんですかね…
というのも、私はこのお話の良さがイマイチ分からなくて。特にスカーレットの良さが分からず… レット・バトラーは魅力的な男の人に見える分、余計なんでスカーレットなんか好きになるんだろう?と疑問に思ってしまって。
スカーレットって、女の中のワガママな部分を抽出して煮詰めたような人に見えるんですよね。そこまでするか?っていう位、自我を出してくるというか。
その反対に、メラニーは私にとっては魅力のある素敵な女性に見えます。
メラニーっぽいな、と私が個人的に思っている場面があって。
私もレ・ミゼラブルの原作を読んだことがあるんですが、"耐えて"読み続ける、って感じの本なんですよね。
ミュージカルとか映画になってるレ・ミゼラブルは、ドラマチックな部分を集めて取り上げてあると思うんですが、原作の本はとにかく長いし、説明文みたいなのも多く、読了するには忍耐が必要な気がします。
スカーレット好きな人から見たらメラニーはつまらない女みたいにみえるのかもしれないですが、今の自己主張したもの勝ちみたいな現代において、メラニーみたいな人は少ない気がするし、こういうメラニーみたいな女性の素敵さはいいな、と思います。
この物語が人気のあった理由は、昔は女はメラニーみたいに振る舞うべきだ、と周りに強制され、窮屈に生きてきた女性が多くて、自分もスカーレットみたいに自我を出してみたい、と憧れた人が多かったからだと思います。
そう考えた時にレット・バトラーが何でスカーレットのことを好きになったのかがちょっと理解できる気もしていて。
実はレット・バトラーは珍しいもの好きな人だったんじゃないかと(笑)
スカーレットみたいなワガママを煮詰めたような女の人、昔は多分めったに居ないですよね。そういう珍しさにレット・バトラーは惹かれたんじゃないかと、私は解釈しました。
レット・バトラー役の轟悠さんは、男役を完璧に極められた方なので、レット・バトラーもダンディで色気もあって、素敵な人だな、と思いました。だから余計、何故スカーレットみたいな破天荒な女性に惹かれるのか分からなかったんですけど私の中では、"レット・バトラーは珍しいもの好きだったのかもしれない"と思うことにしました。
スカーレット役の龍真咲さんは男役さんに言うのもアレなんですけど、とても美人さんなんですよね。目鼻立ちのハッキリした華やかさがあって。しかもトップスターになられるほど男役を追求されてる方なので、スカーレットの女なのに男みたいな内面も上手く出ていて、役にハマってるなぁと思いました。
メラニー役の愛希れいかさんは、可憐な女性を演じるのも上手い方なので、魅力的なメラニーをしっかりと表現されてて、このお三方のバラバラの個性が、それぞれの役でしっかり生きてたんじゃないかな、とそんな気がしました。
それにしても、この風と共に去りぬという作品、今後宝塚で上演されることはあるのでしょうか…人種差別の描写が問題になっているので、今後上演されることはもしかしたらないのかもしれません。
女が淑やかに慎ましく耐えて生きることが当たり前だったかもしれないように、奴隷制度もその時の南部の人にとっては当たり前だったのかもしれません。
でも当たり前のことでもそれが良いわけじゃないんだと思います。
風と共に去りぬという物語が、人種差別問題で消えていく運命なら、それも仕方ないことなのかもしれないと思います。
宝塚のキラキラの舞台で見るこのお話の思い出は、ひっそりと、宝塚ファンのそれぞれの胸に秘められたまま、このまま終わっていくような気がしています。