【宝塚】2015年・月組「1789」感想 星組再演にも期待

「1789〜バスティーユの恋人たち〜」2015年・月組、DVDで見ました。※お名前の敬称は制作スタッフ・生徒問わず統一しています。

 
 
ロナン・マズリエ(官憲に父親を銃殺された青年)   龍真咲
 
この作品、歌の比重が結構大きいと思うのですが、龍さんは歌のお上手な方なので、このミュージカルが上演されたんだなと思いました。
ロナンの元気な感じとかもすごく合ってたと思いました。
歴史を知らないと、この作品のストーリーをすぐに理解するのはちょっと難しいかな、と思ったのですが、龍さんのパワー溢れる勢いとか、力のようなもので、作品の難しさをねじ伏せ、宝塚のミュージカル作品らしさを見せてもらっているような気がしました。
 
 
 
ジョルジュ・ジャック・ダントン(弁護士)  沙央くらま
沙央さんは雪組配属、2013年に月組異動、2014年に専科異動され、専科としてこの作品に出演されていました。
 
カミーユ・デムーラン(革命家でジャーナリスト)   凪七瑠海
凪七さんは宙組配属、2013年に月組異動、2017年に専科異動されました。この時は月組生として出演されていました。
 
マクシミリアン・ロベスピエール(第三身分出身の若い議員)    珠城りょう
 
 
2017年雪組、"ひかりふる路〜革命家、マクシミリアンロベスピエール〜"の作品の方が、この3人については詳しく描かれていると思います。
 
1789年の時は仲間だったのに、後に思想の違いから仲間割れし、結局ロベスピエールはダントンもデムーランも処刑してしまうんですよね…
そういう複雑な人間関係はまだ、この「1789」には描かれていません。"革命に燃える3人の若者"で登場します。
 
この作品の主題も"自由と平等"なので、そういう大きなテーマを、この3人を中心とした歌やダンスやお芝居などで表現しており、物語の核心場面となっていました。
 
沙央さん、凪七さん、珠城さん、みなさんそれぞれの人物を個性を出して演じられていたように思いました。
ただこの1789という作品はロナンとマリーアントワネットに関する場面の方に比重を割いているような気がしました。
なのでこの3人のそれぞれの個性が出てくるというよりも、民衆を代表する革命家という括りで扱われているように思いました。
せっかくの豪華なメンバーなのに、宝の持ち腐れというか…
逆に言えば、1789の作品の見どころの多さとこの時の月組の層の厚さを感じさせられるということなのかもしれません。
 
 
ジャン・ポール・マラー(医師、かわら版の記者)    綾月せり
 
かわら版とは新聞の号外のようなもので、事件などがある時に印刷されていたもの。
ロベスピエールなどの青年革命家が有名ですが、このマラーという人物もフランス革命の指導者として結構有名なようです。
過激な思想ということで、印刷機が壊されたり印刷業者が逮捕投獄されたり…命懸けで作っていたことが窺えます。
綾月さんの落ち着いた感じに、青年革命家とは一味違う、賢く思慮深い革命家像を想像されられました。
ロナンは農民出身なので、同じ身分の仲間達と志を共にする場面に、この印刷所のシーンが効果的に使われていたと思いました。
 
 
 
ソレーヌ・マズリエ(ロナンの妹)    陽音アキ
 
(役替わり:花陽みら。DVD収録時は陽音さんのためこちらの感想です)
ソレーヌはロナンの妹。
女が生きるということの大変さを、陽音さんが見事に演じておられました。
陽音さんは懸命に強く生きる女性を演じるのが上手いですよね。
ソレーヌを中心とした歌の場面が心に残りました。
 
 
 
マリー・アントワネット(フランス王妃)    愛希れいか
 
最初にマリーアントワネットが出てくる場面で、この役はやっぱり愛希さんでしか出来ない…と思わせられました。
マリーアントワネット像については語り尽くされてると思うんですが、この宝塚「1789」のマリーアントワネットと言えば、とにかくお衣装!だと思います。
もう愛希さん関係ないんじゃ…みたいになる気もするんですが、愛希さんの存在感とか、そういうものが、このお衣装を引き立てている、ということでお許し下さい(笑)
お衣装を見るだけで、マリーアントワネットという人がどのような人物なのか分かってしまうような気さえします。
お衣装を担当された有村淳さんは本当にすごい方です…
宝塚のお衣装は基本的にはいつでも素敵ですが、このマリーアントワネットのお衣装はわざわざ見るに値する、そんな気がします。
 
 
 
ルイ16世(フランス国王)    美城れん
 
美城さんは専科からの出演です。
ルイ16世は"ベルサイユのばら"などフランスが舞台になる作品において、マリーアントワネットとセットで出てくる人物。
私は宝塚作品で出てくるこのルイ16世の人物像は結構好きです。
王家の世界しか知らない世間知らずだけど、自分なりの人生の処し方を深く考えているような描写に、考えさせられてしまう気がします。
こういうお役が出来る人はある程度限られていると思います。美城さんのルイ16世も、脇役で余り目立たない筈なのに、ちゃんとした存在感があったような気がして、流石だなと思いました。
 
 
 
ハンス・アクセル・ファン・フェルゼン(スウェーデンの将校、王妃の愛人)    暁千星
 
こちらもマリーアントワネットが出てくる宝塚作品ではお馴染みの人物。
暁さんのフェルゼン、この時研4!
暁さんのフェルゼンは、かなり濃い個性の人物が出まくるこの作品において、ピュアさが際立ってました(笑)そういう意味では、これはこれで正解のような気がしました。
マリーアントワネットが好きになる相手はやっぱり特別感のある人じゃないといけないし、濃すぎる人物達の中で、マリーアントワネットはフェルゼンの純粋さみたいなものに癒されてたんじゃないかなーと思いました。
 
 
オランプ・デュ・ピュジェ(王太子の養育係、ロナンの恋人)    早乙女わかば
 
普通はトップ娘役がするようなお役。
愛希さんがマリーアントワネットだったので、オランプはトップ娘役さん以外での配役となりました。
 
(オランプ役は早乙女さんと海乃美月さんの役替わりでしたが、DVD収録時は早乙女さんがされてるので、こちらの感想を)
早乙女さん、すごい可愛い娘役さんですよね。
早乙女さんは娘役さんの中でもパッと見の可愛さが群を抜いてる気がして。
幼い感じでもなく、大人っぽすぎる感じでもなく、ちょうどいい感じの可愛らしさで。
喋り方とかも、ほわっとしてるような、癒される感じで。
お歌はちょっと苦手なのかな…という気はしましたが、可愛らしさは満点なので満足です!
 
 
 
デュ・ピュジェ中尉(バスティーユ牢獄爆薬庫の管理人・オランプの父)    飛鳥裕
 
飛鳥さん、雪組配属、研14で雪組副組長となり、雪組組長、専科、月組組長を経験され、現在は宝塚音楽学校の先生をされているそうで。何という管理職人生なんでしょう!
この「1789」の時は月組組長として出演されてたんですね。
爆薬庫管理人のして自分の職務を全うしながら、父親として温かく娘を見守る姿が、飛鳥さんご本人とも重なる気がしました。
 
 
 
ラザール・ペイロール(貴族将校)    星条海斗
 
この人は実在せず、ミュージカル1789のオリジナルの人物です。悪役として描かれています。
星条さんは月組生としてはこの公演が最後で、専科に行かれました。
星条さんは、個性の強い、迫力のあるお役がお似合いですよね。
このペイロールの、ロナンを鞭で打つあの有名なシーン、めっちゃ怖かったです(笑)
 
 
 
シャルル・アルトワ(ルイ16世の弟)    美弥るりか
 
実在の人物で、ブルボン王朝の最後の国王。一般には享楽的な遊び人というイメージのようです。
美弥さん演じるアルトワ伯も、快楽を追求する人物として登場人物していたように思いました。
この「1789」は、自由と平等と博愛を求める人達の話なので、ここでのアルトワ伯はあまり魅力的には描かれていなかったように思いました。
美弥さん好きの私はちょっともの足りなかったですが、最後のフィナーレで、キラキラを放ちながら銀橋で歌う美弥さんが見れたので、良かったです。
 
 
 
オーギュスト・ラマール(アルトワ伯爵の手先)紫門ゆりや
ロワゼル(ラマールの手下)朝美絢
トゥルヌマン(ラマールの手下)輝月ゆうま
 
この3人組が登場する場面は、物語をコミカルなものにしていて、楽しくて注目して見ていました。この作品では脇役ですが、お三方共、すごくお芝居がお上手でした。
 
 
 
あと、この作品はフィナーレがすごくカッコいいんですよね!
 
2023年に星組でこの作品が再演されますが、それを知って私がまず思ったのが、このフィナーレをまた新たな組とメンバーで見る事が出来るのか!?いうことでした。
 
この作品は歌とか音楽の比重も大きいので、歌って踊れる方が揃われてる今の星組さんでの再演はとても期待できる気がします。
今からすごく楽しみにしています!